まつどを守ろう 検証!まつどの安全【水編】
ロマン産業株式会社 専務取締役 小山健一

ロマン産業株式会社 専務取締役 小山健一

松戸から、お水が消えた。3月11日に発生した震災から約2週間経った3月24日。市内の店頭の多くから、一斉にお水が姿を消した。水道水から、1キロあたり100ベクレルを超える放射性ヨウ素が検出されたとの報道がなされ、消費者が一斉に買い求めたためだ。

「お水がこれほど大切で貴重なものだと、初めて分かった気がします」。

常盤平浄水場で、多くの市民から聞いた言葉だ。1キロあたり100ベクレル超という数値は、乳児が飲む際の安全性基準を超えるものとされる。それを超えると、幼児や子ども、そして大人にどのような影響があるのかは、多くの市民が知識を持たず、不安が一気に膨らんだ。私は3月26、27日の両日、市が常盤平浄水場で行ったお水の配給ボランティアとして現場にいた。対象は乳児のいる家庭が基本だと、告知されてはいた。しかし実際は、小さな子共がいない家庭からも押し寄せた。「今日はお風呂に入っていいのか」、「洗濯はできるのか」。駐車場で交通整理をする私に、次々と質問が寄せられる。しかし、専門知識を持ち合わせていない私は、ネットで仕込んだ情報を頼りに、「日常生活に影響はないはずだが、あくまでも私見でしかない」と言う以外になかった。配給されたお水を抱え、安堵の表情を浮かべる家族。お水がこれほどの安心感を市民に与え得るなど、それまで考えたこともなかったというのが正直なところだった。

「安全と安心は買うもの」を市民が実感

松戸市五香に本社を置き、福島からの避難所に宅配水「アクアクララ」を提供していたロマン産業株式会社では、約1週間、電話が鳴り止むことがなかった。「文字通り、電話がパンク寸前でした」そう語るのは、専務の小山健一さん。震災と水道水からのヨウ素検出を受けて、地域住民のお水への意識は明らかに変わったと言う。「これまでは、安全性や緊急時への意識が比較的に高い方にご利用いただいてきました。しかし今では、お水は買うものであり、備蓄しておくものという意識が一般化したと感じます」(小山さん)。現在では申込からサービスを受けるまで、しばらく待たなければならない。それでも希望者は後を絶たない。市民の意識の変化は、ロマン社で配送を受け持つスタッフも強く実感している。「このお水の原水は、どこの流域のものか」など顧客からの質問が詳細にまで及ぶ。全国トップシェアのお水にも、安心は禁物というわけだ。「私たちは、お水の安全と安心をお届けするプロです。お客様の不安を解消するため、社員研修や現場調査をさらに徹底しています」(小山さん)。安全とお水は、タダ。そう言われた我が国での生活が、大きな転換期を迎えているのかもしれない。

アクアクララ/ロマン産業株式会社

松戸市五香5-44-1 GoogleMap
TEL. 047-387-5433
http://www.roman-rental.com

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