まつどの仕事人 – ボディメイク・KAZU【板金・塗装】

KAZU　代表　阿部一佳

板金・塗装を通して届けるもの　それはお客さんの豊かなライフスタイル

高級スポーツカーからデコされた軽までがズラリ。不況で車離れなど嘘のよう。工場にはあらゆる車が持ち込まれる。「フェラーリだろうと軽だろうと、塗装ってやることは一緒。自信を持って塗るだけ。それを続けていればお客さんは信用してくれる」。今年40歳。松戸で育った社長の阿部一佳の笑顔は、子どものように無邪気だ。 高校は数日で辞めた。「喰わなきゃいけない。拾ってくれた社長の技術を見て、これで生きるって決めた」。厳しかった。数センチ四方を1日がかりで仕上げても、「やり直せ」。他に行くあてもないから、ひたすら技術を盗む。次第に最高級車のオーナーたちに彼の評判が広がり、「カズなら任せられる」と言わしめた。「いい師匠だったな」。そう振り返る阿部に若い職人が近寄り、相談。師匠の工場の隅を借りて始めた会社も、今では15名ほどの規模。みんないい表情だ。

車だけ大事にしてたらダメ。誰と何をするかのほうが大切だよ(阿部)

改装したオフィスは、板金屋のそれと大きく違う。サーフボードや釣り竿、シューズやアクセサリーなどがデパートのように並ぶ。洒落たリゾートホテルを思わせる受付では、いつもたくさんのお客さんが談笑し、初めて会う人でもすぐその和に溶け込める。「人よりイイ車に乗るだけなんて、つまらない。軽だっていい。それに乗って誰と幸せな時間を過ごすかでしょ？」。だから人間関係を大切にするんだと、阿部は言い切る。「色んな場所で充実した時間を過ごしてもらいたい。技術の高さって、お客さんに与えられるの生活の豊かさと比例するって信じてるから」。自分がそうだった、ドロップアウトした若いヤツにもそれを伝えようと、彼の指導は厳しい。ボディメイク・KAZUは今日も忙しい。