“本気”を育む野球コーチ
山本周司

“本気”を育む野球コーチ

2011年8月24日(水)、松戸市子ども会常盤平地区主催のベースボールクリニックが行われました。

第6回目となる今回、指導にあたってくれた山本周司さん(26才)。子ども会常盤平地区の要請を受けて、これまでも何度か指導にあたっています。
横浜商大高校では、3年生の時に甲子園に出場。その後、プロテストを受けるも、惜しくも合格には至りませんでした。
現在は、仕事の傍ら、元ヤクルトの栗山氏が主宰する野球教室で指導法なども学び、1人でも多くの子どもたちに野球の魅力を伝えようと活動しています。

「僕はある意味、恵まれた野球生活でした。だから、学生の時は、天狗になっていたことも正直ありました」と照れくさそうに話す山本さん。小学生の頃から全国的な注目を浴び、全日本に選抜されて世界を相手にプレー。中学1年の時には既に40を超える高校からオファーを受けるほどの逸材でした。「でも社会に出て、野球の魅力って、そういう部分だけじゃないって言うことに気がつきました」。
華やかな野球街道を進んできた山本さんは、プロテストの不合格を経て、コツコツと基礎を積み重ねることの大切さを実感していると言います。「僕は、自分の持っていた資質に甘えていたんだと、草野球や少年野球を見直してみて痛感しました」と語る目は真剣だ。「一見、能力が高くない子でも、どうしてこのプレーができるんだろうと思うと、そこには“誰よりも野球が好きだ”という気持ちや、“負けたくない”という思いが必ずある。それを積み重ねれば、僕が持っていたような資質なんて簡単に乗り越えるだろうと思いました。今は、僕のそのような思いを、子ども達に伝えたいんです」。

「僕はみんなに注目されて、甲子園にまでは行きました。でも、プロにはなれなかった。それは、単に僕の努力が足りなかったんです」と実直に語る山本さんの目は、とても深い優しさをたたえている。「言い換えれば、努力次第で、誰でもプロになれる可能性はゼッタイにあるんです」。山本さんは、子ども達に繰り返し、そのことを全力で伝えようとしてくれる。

「プロになれる可能性が0(ゼロ)%の子なんて、いないんです」。

心の奥から湧き出る言葉と指導に、子ども達は勇気づけられ、数時間の指導を受けると見違えるようにハツラツとしたプレーを見せてくれるようになる。―山本マジックだね。そう投げかけると、またはにかみながら「そんなエラそうなモンじゃないです」と大きな体をかがめて照れる山本さん。魅力的な野球コーチだ。

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